19 法務局と登記官

法務局と登記官

司法書士を職業としている者が、顧客以外に対象としなければならないのが、法務局という役所です。今回は、その法務局とそこで働く人のことなどを書いていきます。
では、なぜ対象としなければならないか。そこに出す書類を作り、代理人として申請し受理してもらうことが主たる仕事だからです。司法書士や土地家屋調査士にとって、その業務をするうえで、法務局とは切っても切れない関係なのです。
その法務局は国の機関であって、法務省の地方行政機関(出先機関)です。取り扱い業務は登記、供託、戸籍、人権等、多岐にわたりますが、主たる業務は登記と言えるでしょう。それら業務は何らかの形で、国民生活に関っている重要なものです。ですが、その知名度や認知度は、あまり高くないのではないかと思います。何となく名前は聞いたことはあるが、行ったり利用したことはない、という方が多いのではないでしょうか。ただ、会社を経営している方などは、設立の登記から関わり、印鑑証明書や登記事項証明書を取る用があるので、よく知っているかもしれません。そのような人以外の人が、法務局と接触を持つのは、やはり不動産登記に関しての際だと思います。それも、人生で一度か二度ぐらいでしょうか。(例えば、家を建てたので、登記事項証明書を取りに行くぐらい)国民にとっては、あまり馴染みがない役所だと思います。
法務局は全国都道府県ごとにあり、八つの法務局(管区法務局)とそれ以外の地方法務局に分かれ、配置されています。また、その下に支局・出張所があります。一般にはこの(狭義の)法務局と地方法務局との差異は認識されてないため、二つ合わせたものを(広義の)法務局と呼んでいると思われます。登記を取り扱う法務局、地方法務局(その支局、出張所)は法律上、登記所と呼ばれています。人によっては、この名称の方が馴染み深いかもしれません。なお、本稿で言う法務局とは広義のそれを指しています。
次に、法務局で働く人のことですが、ここで働く人は基本、国の公務員です。正規の職員(法務事務官)もいれば、そうでない人(任期が限定されている非常勤職員など)もいます。また、証明書や謄本の発行窓口で働く人は、法務局から委託を受けた民間事業者の人です。正規の職員の内、登記事務に従事する者は全体の半数以上おり、その中で登記所における事務を取り扱う者が、登記官と法律上呼ばれています。登記所における事務とは、登記を行うという行為と、それに係る諸般の事務ということかと思います。登記を行うとは、登記簿に所要の事項を記録するということで、その役目を負うのが、登記官ということです。別の角度から言えば、自らの権限と責任において、登記申請の受理・不受理を決定する立場にある者が登記官ということです。登記官でない法務事務官(一般職員)は、登記官の補助として、登記の補助事務を行います。最終工程での決済は登記官のみが行い、それまでの工程の事務などは、登記官以外の職員も行う、というわけです。これら、登記官以外の職員は一登記所に、全体の半数程度はいます。登記官は、試験によってではなく、法務事務官の内、法務局の長または地方法務局の長が指定した者がなります。登記官は、不動産登記法上の名称ですが、別に、法務局組織(なかんずく登記を扱う部署)の役職名でもあります。会社で言うところの課長とか課長代理、係長です。その序列(本局の例)は、上から首席登記官、次席登記官、統括登記官、総務登記官、表示登記専門官などです。その下位に、登記官という係長級の職名(役職)があります。申請の補正などで、対応する人はこの登記官か、もしくは登記官になっていない職員(職名でいうと登記調査官や登記専門職など)がほとんどです。
さて、昨今、法務局の出先は統廃合が進み、昔よくあった田舎の出張所などは、本局や支局に吸収されています。それに比例して、登記のオンライン化は進みました。登記事項証明書等の証明書類の交付請求や登記の申請などは、法務局に行くことなく、リアルタイムで自宅のパソコンから行えます。ただ、現時点で一般の方がこれらの処理をするのは、登録や電子認証などで手間がかかり、面倒なことです。どちらにせよ、自分で手続きをするのが無理な方や、なかなか時間が取れない方は、司法書士等に依頼するのが、早いかもしれません。
以上、法務局とそれに関連することについて記述しましたが、何かの折に参考にしてみてください。

 

 

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