14 未登記の建物を相続したら
未登記の建物を相続したら
自分が相続する遺産の中に、未登記の建物があった場合、どうすればよいのでしょうか。当ホー厶ページでも、簡単には触れていますが、今回はより詳細に説明することにします。
未登記とは、法務局の不動産登記簿にその登記(表題登記等)が未だされていない状態のことです。登記簿自体ができていない場合も含みます。法律上の概念でなく、一般的に使われている用語です。例えば、登記されている不動産と区別する用語として、固定資産課税明細書等に表れています。未登記は建物に関してのみ言います。土地については、表題登記をしていない土地が該当しますが、これはほとんどないと思われます。建物に未登記が多い理由は、建築した所有者がその登記をすることが義務であるということを知らないか、知っていてもその意識が低く、登記するまでに至らない、などです。また、その他の理由として、登記がされていると誤信している場合があります。(市に固定資産税を毎年払っているので、当然登記もされていると思っている人は結構多くいるようです。)
建物が未登記である場合、その態様は何種類かあります。主なものを挙げます。(以下、全て被相続人が建築したものとします。)
①一つは、主である建物(居住用住宅等)を新築したが、登記の申請をしていない(登記簿ができてない)状態です。この場合は、登記簿を作る表題登記を申請しなければなりません。
②もう一つは、既に登記してある主の建物の近くに、付属的な建物(物置や納屋、車庫など)を建築した場合に、その旨の登記を申請していない状態です。この場合は、付属建物を新築したとする、既登記建物の表題変更登記を申請しなければなりません。
③更に、登記してある建物を増築して床面積が増えたのにもかかわらず、表題変更登記を申請していない状態があります。他にも未登記の様々なケースがありますが、多いのがこの三種です。その中でも多いのが、②のケースです。筆者の地方では普通にあります。
では、前置きはこのくらいにして、次に本題です。未登記建物(増築部分)に相続が発生したら、何をどうすればよいか。
まずは、建物の所有者であった被相続人がしていなかった上記①、②、③の登記を、相続人の一人から申請します→㋐。未登記建物(増築部分)についての遺産分割協議をしているか、否かは関係ありません。次の㋑と前後しても構いません。本来、被相続人が果たすべき申請義務を相続人が引き継ぎ、その義務を遅れて履行するわけです。(土地家屋調査士の業務となるため、申請情報等の説明は割愛します。)
次に、㋐が終わっていれば、既登記となった当該建物の相続人を確定させること、㋐が終わっていなければ、未登記建物(増築部分)の相続人を確定させることです→㋑。具体的には遺産分割協議などを行います。先の登記申請と前後しても構いません。
最後に㋐と㋑が終了すれば、当該建物の所有権保存登記、または当該建物の相続による所有権移転登記を申請できます。前者は上記①の場合、後者は②、③の場合です。これで、未登記建物に関する相続の一連の登記は完了になります。
以上、相続する遺産に、登記がされていない建物があった場合の話でした。実際、このような未登記の物件は多くあります。先述の未登記解消の登記は、時が経てば経つほど、難しくなっていきます。建築直後、書類が整っている内に、しかるべき登記をしておくべきでしょう。そうすれば、先の相続登記が楽になりますから。