6 相続関係が複雑になるケース

子どもがいない夫婦の一方の配偶者が、亡くなったとき

今回は相続に関して、身近に起こり得ることをテーマとして記述します。
当ホームページ中の「よくある質問」の「相続登記にかかる費用Q2の中でも触れていますが、数次相続が発生して、相続関係が複雑になっているケースがあります。結果、登記にかかる費用が増える、ということにつながります。以下、具体例(タイトルのケース)を挙げて説明します。
「3年前、子どもがいない夫婦の夫Aが、妻Bを残して亡くなりました。Aの両親、祖父母は既に亡くなっています。Aの兄弟姉妹は当時3名いました。その3名とBとが、Aの遺産の共同相続人ですが、遺産の分割協議はできていません。その2年後、Bは亡くなってしまいました。Bの両親、祖父母はそのときには、亡くなっています。Bにも兄弟姉妹が3名いて皆健在です。今現在、Aの兄弟姉妹も皆健在です。Aの遺産分割協議は、Bはもういないので、Aの兄弟姉妹がすることになるのでしょうか。」
この事案のポイントは、①夫婦に子どもがいなかったことと、②遺産分割協議をしない間にBが死亡した点です。
まず、①の説明です。もし子どもがいれば、Aの兄弟姉妹が相続人として出てくる余地はありません。また、Bと子どもが分割協議をしない内に、Bが死亡したとしても、子どもがBの相続人も兼ねることになるので、相続人が増えて複雑な相続関係になることはありません。本事案は、子どもがいないこと、及び親などの直系尊属が死亡していることにより、被相続人の兄弟姉妹が相続人として出てくることになり、相続関係か複雑になっています。
次に②ですが、これが更に複雑さを増す要因となっています。つまり、Bの死亡により、B自身の相続が発生していて、Bの法定相続人であるその兄弟姉妹が出てくるからです。
Bは夫Aの相続人であったのですが、他の相続人と分割協議をしていないため、相続人としての地位を残したまま、死亡したわけです。Bのその地位を承継したのが、Bの兄弟姉妹です。Bの兄弟姉妹は、Aの相続人であるBの相続人という立場で、できていなかったAの遺産分割協議に参加することになるのです。
結論です。Bが死亡したからといって、Aの兄弟姉妹たちだけで分割協議は行えません。法定相続をしないならば、姻族同士AとBの兄弟姉妹、計6名で、分割協議をするほかはないのです。(状況次第では、皆が集まって協議を行うこと自体が困難なこともあります)
今回もややこしい話になりましたが、世の中にない話ではありません。結構、自身にも起こり得る身近な話かもしれません。大事なことは、一つの相続が発生したら、複雑になる前に、早めにその手続きを終わらせることでしょうか。

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