7 養子の相続について

養子の子は養親の遺産を相続できるか

こういう相談事例があります。
「私の祖父が最近亡くなった。父と祖母はその前に亡くなっている。祖父の子は父のみで、父、母の子は私一人。父は母の実父の養子に入っている。私は祖父の不動産等の遺産を、母と共に相続できるか。なお、両親の婚姻後に私は生まれ、その後、父は祖父、祖母と養子縁組をした。」
この事例を整理すると、こうなります。(以下、相談者を仮にAとします。)
祖父と亡父の関係→養子縁組により親子となっているので、存命ならば父は祖父の相続人となる。祖父とAとの関係→父側からは血族関係にないが、母側からは血族関係にあり、祖父と孫の関係。→父は既に死亡しているため、Aが代襲相続人として、祖父の遺産を祖父の子である母と共に、共同相続できるか。
まず、考えなければならないのは、代襲相続の問題です。代襲相続とは、被相続人の子が、相続開始前に死亡したとき等は、その者の子がこれを代襲して相続人となる、という制度です。ただし、被相続人の直系卑属でない者は除かれます。(直系卑属とは、ある者を基準にして、その者の下の世代となる直系統の親族を言います。例;祖父を基準とすれば、子や孫など)
では、この祖父に係る相続において、Aは亡父の相続権を代襲できるのでしょうか。
Aは父系統から見れば、祖父の直系卑属ではありません。養子縁組前に生まれた子であるからです。よって、代襲相続できる条件に適合していないため、Aは亡父の相続権を代襲できず、祖父の相続人となれない、と一般的に考えられています。(これに対して、養子縁組後にAが生まれていたならば、祖父との血族関係が生じて、祖父の直系卑属となり、亡父を代襲して相続人となれる。)
しかし、本記事では結論は逆となります。まず、着目しないといけないポイントがあります。それはAの母の存在です。母は祖父の実子であり、母系統から見れば、Aは祖父から直系統の親族である孫、つまり直系卑属そのものです。民法では先述の通り、代襲相続できる条件として、被相続人の直系卑属であることを求めています。本事案では、父系統から見るのではなく、母系統から見ることにより、Aはこの条件に適合します。(仮に母が祖父の実子でなければ、Aは祖父の直系卑属ではないため、代襲相続できないのは明白で、先述の見解となる。)
次が本相談事例の回答となります。Aは、亡父の代襲相続人として、祖父の遺産を相続できる地位にあり、母と共にそれを共同相続できる。
今回も少し難しい話になりましたが、もし、この事例のような立場にある方などは、ご参考にしてください。

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